公開日:2023.08.01 
更新日:2024.08.08

上手な妊活法とは?

監修者 | 黒田 優佳子
男性不妊治療の専門である黒田IMRの院長

精子学の研究者であり医師である視点から、
不妊治療における誤解やリスクを解説

上手な妊活法とは?

必ずお役に立てる詳細情報が詰まっています。

◎妊活に向けて「何からしたらいいの?」とお困りの方
◎不妊治療が初めてのご夫婦

◎もしかして男性不妊かもしれない?
◎男性不妊と診断された方

◎妻の年齢が40歳代で、時間的な効率化を図りたいご夫婦

◎顕微授精反復不成功でお悩みのご夫婦
・胚移植まで進むが、全く着床しないケース
・全く胚移植に至らないケース
・顕微授精のリスク(先天異常児との因果関係)を心配されているケース
・このまま終わりのない辛い不妊治療を継続しても無意味かと感じているケース

是非ともご一読ください。

最初に、女性よりも先に男性側の「精子の精密検査」をしてください

現在では、5組に1組のご夫婦が不妊の検査や治療を受けておられ、およそ14人に1人が生殖補助医療で誕生していますので、不妊治療も身近な医療になってきました。
2022年4月より不妊治療が保険化されましたが(医療機関によっては自費診療)、経済的な負担のみならず、女性側の治療に伴う精神的、肉体的、時間的な負担は避けられません。それらの負担を軽減させるためにも、ご夫婦仲良く「上手な妊活」をすることが重要です。最も効率的な妊活法は、最初に男性側の「精子の精密検査」を受けていただくことです。
これまで「不妊」と言えば、女性側の問題として捉えられてきましたので、女性よりも先に男性が検査をすることに疑問をもたれる方も多いことでしょう。その点について、分かり易く解説したいと思います。

不妊原因として、遺伝子異常(先天異常)による男性不妊の頻度が高く、治療は難航します

実は、不妊の約半数は、男性側に原因がある「男性不妊」です。また、男性不妊の約90%が、精子に何かしらの異常がある『精子異常』なのです。
精子異常は、多くの施設では、通常の位相差顕微鏡で精液を観察して見た目だけで判定する「精子数の減少」や「運動率の低下」を指します。しかし実際のところ、不妊に直結する精子異常の殆どは、位相差顕微鏡では見えない、精子の中に隠れた異常を有する『隠れ精子異常』になります。隠れ精子異常の背景には、『新生突然変異』という、父親から受け継いた遺伝子ではなく、突発的に発生した不運な遺伝子の異常(遺伝子の突然変異)が関与しています。すなわち、一般的に精子の問題は、卵子の老化と同様に加齢に伴い悪化するように報道されていますが、本当のところは、遺伝子異常(先天異常)による男性不妊の頻度が高いということです。

多くの施設では、精子異常となりますと、顕微授精が適応されますが、残念ながら、顕微授精を含む生殖補助医療は、遺伝子異常を克服できる技術ではありません。その結果として治療現場では、顕微授精反復不成功例の精子の8割に精子異常が高頻度で見つかるという厳しい現実があり、治療が難航します。また、治療を反復しているうちに妻の加齢による卵子の老化も加わり、二重苦になるという辛い現実も重なります。この現実の陰では、不妊治療を始めた夫婦の半数以上は妊娠に至らずに治療を終えるという実態があり、生殖補助医療の実施件数が年々増加傾向にあるにもかかわらず、総出生率が低下している事実は、現場の影の実態を裏付けています。

終わりのない辛すぎる不妊治療の反復不成功例に陥らないためにも、最初に「精子の精密検査」をしましょう

まとめますと、不妊治療において、いくら妻の治療がうまくいっても、夫の精子に問題があれば妊娠率は上がりません。この辛すぎる現実を回避するためにも、男性が妊活に向けて最初にやるべきことは(不妊治療を開始する前に)、分子生物学的な特殊検査法による精子精密検査を行い、科学的根拠に基づいた精子詳細情報を取得(把握)し、隠れ精子異常の種類と程度を見極めることが、「上手い妊活の入り口戦略」になります。
詳細は精子精密検査のコラムを参照ください。

高度な精子検査の重要性について|高品質精子の調べ方とは?

精子精密検査で詳細情報が得られることにより、その後の具体案が適正化・明確化しますので、経済的・精神的・肉体的・時間的な効率化に繋がります

精子精密検査で詳細情報が得られることにより、精子側から
(1)「不妊治療が必要とされるか、されないか」という治療適応の有無が明確になります。
(2)治療が必要になった場合には、「どのような治療法が安全かつ最適なのか」という個別化・適正化プランが明確化します。
(3)ある程度、妊娠の可能性等の治療成果を見据えて方針を決定できますので、経済的・精神的・肉体的・時間的な効率化に繋がります。

結論ですが、なるべく早い時点で男性側が、精子精密検査を試みて科学的根拠に基づいた精子詳細情報を取得(把握)していただくことが、『上手な妊活の入り口戦略』になります。

黒田院長からのメッセージ

正直なところ、全ての不妊ご夫婦が、治療の土俵に上がれるわけではありません。また、治療の土俵に乗っても皆が皆、妊娠できる訳ではありません。この現実をしっかりと認識した上で、ご夫婦の強い想いや考え方を共有して、ご夫婦仲良く『上手な妊活』をしていただくことを切望します。その一助になれますよう、私も日々精進しております。

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監修者│黒田 優佳子

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監修者│黒田 優佳子

黒田インターナショナル メディカル リプロダクション院長。不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる。

出版
不妊治療の真実 世界が認める最新臨床精子学
誤解だらけの不妊治療

主な監修コラム
不妊治療について
日経woman

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