高熱と精子の質の関係性とは?詳しく解説

精子と高熱の画像

男性の生殖機能(精巣の機能)は、色々なストレスに敏感に反応して、その影響を受けます。世間一般では、幼小時に流行性耳下腺炎(おたふく風邪)に罹患して高熱を出すと、精子を造る精巣の機能(ぞうせいきのう「造精機能」と言う)が低下すると言われていますが、高熱は精子の質(精子機能)に大きな影響を与えます

この記事では、高熱が精子に与える影響、男性不妊におけるその意味、そして精子の質を保つための対策について詳しく解説します。

目次

高熱が精子に与える影響

1.精子数の減少

高熱を伴う病気、前述した流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の他にも、コロナ・インフルエンザ・ノロウイルス感染症、睾丸炎などが原因で、精子数が大幅に減少することがあります。

数ヶ月という長い時間を要しても回復する場合もありますが、不可逆的なこともあります。後者の場合は、妊活に向けて生殖補助医療による不妊治療が必要になる可能性が高くなりますので、注意が必要です。


2.精子の質の低下・精子機能異常

精子を造る精巣の機能が正常に働くために、体温よりも低い温度に保たれています。ですから、高熱が数日間続くことにより、精巣機能が障害されて、結果として 造られる精子の質(精子機能)が著しく低下する危険性があります。

一般的には「精子の問題」となりますと、「精子の数が多い、少ない」とか、「精子が元気に泳いでいる、動きが悪い」とか、「精子の形が良好か、変形しているか」などが着目されています。しかし最も重要な点、つまり健康な命を誕生させるという観点から言えば、「精子数」「運動率」「形態」より、「精子の機能が良好か異常か」という点が極めて重要になります

現実的な問題として、精子機能異常が認められた場合には、妊活に際して不妊治療による医療介入が必要になることも多く、また治療も難航しますので、精子機能異常は深刻な問題になります

男性不妊と精子の質、精子機能との関係

男性不妊の原因の大半が精子機能異常

不妊になる原因の約半数は、男性側の「精子に問題」がある「男性不妊」です。上述していますが、「精子の問題」となりますと「精子数の減少」「運動率の低下」「形態異常」などが表面化されますが、不妊治療の対象になる男性不妊の中で「治療を難航させる厄介者」になるのは、むしろ「精子の機能異常」です

精子機能異常の背景には遺伝子の問題(先天性)が関与しているケースが多く、この事が男性不妊治療を難航させますが、中には生活環境の改善(後天性)により改善を期待できる場合もあります。偏食を避けてバランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠、禁煙などを日頃から心がけることも大切です。

また冒頭でも解説していますが、高熱の精子への影響が不可逆的になることも少なくありませんので、サウナなどによる急速な体温上昇も控えめにしてください。

黒田IMRには、一連の「黒田メソッド」特殊技術の中に、『精子機能異常を正確に見極められる検査』『質の高い精子を分離・選別する技術』があります。ご心配の方は相談ください。

精子の質を保つための対策

1.生活習慣の改善

健康的な生活習慣を心がけることで、精子の質を保つことができます。抗酸化物質を多く含む食品(パプリカ、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や、お茶、大豆など)を積極的に摂取したり、適度な運動も取り入れて体の新陳代謝を上げましょう。また質の高い睡眠を確保することは、精子にとっても大切です。

2.高熱の予防

高熱は、精子の健康維持にとって無視できないリスクファクターです。定期的な健康診断を受けて しっかり健康管理をして、免疫力を落とさないようにしましょう。また感染症が流行する季節には徹底した手洗い・うがいを習慣化して、高熱を引き起こす病気の予防に努めてください。予防していても発熱した際には、早期に医療機関を受診して適切な治療を受けてください。なるべく早く体温の上昇を抑えることが、精子の質を守るためには大切です。

黒田インターナショナルメディカルリプロダクション(黒田IMR)は『精子側の技術に特化している男性不妊専門クリニックです。精子の状態を正確に把握されたい方、ご心配の方は相談ください。

Author information

黒田インターナショナル メディカル リプロダクション院長。不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる。

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