この記事では『上手な妊活法』についてまとめました。是非お役ていただき、効率の良い妊活をしてください。とくに以下のような方は、ご一読ください。
◎妊活に向けて「何からやるべきだろうか?」と考えている方
◎不妊治療が初めてのご夫婦
◎もしかして「男性不妊かもしれない?」と心配されている方
◎すでに男性不妊と診断された方
◎妻の年齢が40歳代で、妊活に時間的な効率化を図りたいご夫婦
◎顕微授精反復不成功(顕微授精を繰り返しているが、成果に繋がらない)ご夫婦
・胚移植まで進むが、全く着床しないケース
・全く胚移植に至らないケース
・顕微授精のリスク(先天異常児との因果関係)を心配されているケース
・このまま終わりのない辛い不妊治療を継続しても無意味かと感じているケース
目次
最初に!女性より先に男性の「精子の精密検査」をしてください!
体外受精や顕微授精などの生殖補助医療も普及し、不妊治療も身近な医療になってきました。とくに2022年4月からは不妊治療が保険化されましたので(治療内容や医療機関によっては自費診療)、経済的な負担が軽減したご夫婦も多く、若い世代には一層身近になりました。しかし、どうしても女性側の治療に伴う精神的、肉体的、時間的な負担は避けられないのが不妊治療です。それらの負担を少しでも軽減させるためにも、ご夫婦が仲良く「上手な妊活」をすることが大切です。最も効率的な妊活法は、最初に男性側の「精子の精密検査」を受けていただくことです。
これまで「不妊」と言えば、女性側の問題として捉えられてきましたので、女性よりも先に男性が検査をすることに疑問をもたれる方も多いことでしょう。なぜでしょう?結論から申し上げれば「精子の問題をいかに解決できるか!」が妊活の鍵になるからです。その点について、この記事では分かり易く解説したいと思います。
不妊原因の約半数は男性側の「精子の異常!」その大半が「遺伝子異常」による精子異常!だから男性不妊治療は難航します
実は、不妊の約半数は、男性側に原因がある「男性不妊」です。また、男性不妊の約90%が、精子に何かしらの異常がある『精子異常』なのです。
精子異常は、多くの施設では、通常の位相差顕微鏡で精液を観察して見た目だけで判定する「精子数の減少」や「運動率の低下」を指します。しかし実際のところ、不妊に直結する精子異常の殆どは、位相差顕微鏡では見えない、精子の中に隠れた異常を有する『隠れ精子異常』になります。隠れ精子異常の背景には『新生突然変異』という、父親から受け継いた遺伝子ではなく、突発的に発生した不運な遺伝子の異常(遺伝子の突然変異)が関与しています。すなわち、一般的に精子の問題は、卵子の老化と同様に加齢に伴い悪化するように報道されていますが、本当のところは、遺伝子異常(先天異常)による男性不妊の頻度が高いということです。
多くの施設では、精子異常となりますと顕微授精が適応されますが、残念ながら顕微授精は遺伝子異常を克服できる技術ではありませんので、成果に繋げることは困難です。その結果として、治療現場では、顕微授精反復不成功例(顕微授精を繰り返しても成果に繋がらないご夫婦)の精子の8割に精子異常が高頻度で見つかるという厳しい現実があります。また治療を反復しているうちに妻の加齢による卵子の老化も加わり、二重苦になるという辛い現実も重なります。この現実の陰では、不妊治療を始めた夫婦の半数以上は妊娠に至らずに治療を終えるという実態があり、生殖補助医療の実施件数が年々増加傾向にあるにもかかわらず、総出生率が低下している事実は、現場の影の実態を裏付けています。
最初に「精子の精密検査」をすることが、治療反復不成功に陥らない『上手な妊活法!』です
不妊治療において、いくら妻の治療がうまくいっても、夫の精子に問題があれば妊娠率は上がりません。この辛すぎる現実を回避するためにも、男性が妊活に向けて最初にやるべきことは(できれば不妊治療を開始する前に)、分子生物学的な特殊検査法による精子精密検査を行い、科学的根拠に基づいた精子詳細情報を取得(把握)し、隠れ精子異常の種類と程度を見極めることが『上手な妊活法の入り口戦略』になります。
精子精密検査で詳細情報が得られることにより、その後の具体案が適正化・明確化しますので、経済的・精神的・肉体的・時間的な効率化に繋がります
精子精密検査で詳細情報が得られることにより、精子側から
1.「不妊治療が必要とされるか、されないか」という治療適応の有無が明確になります。
2.治療が必要になった場合には、「どのような治療法が安全かつ最適なのか」という、治療の個別化・適正化プランが明確化します。
3.ある程度 妊娠の可能性等の治療成果(治療の見通し)を見据えて方針を決定できます。
結果として、経済的・精神的・肉体的・時間的な効率化に繋がります。
なるべく早い時点で、精子精密検査を受けて、上手に効率よく妊活してください。
黒田院長からのメッセージ
正直なところ、全ての不妊ご夫婦が、治療の土俵に上がれるわけではありません。また、治療の土俵に乗っても皆が皆、妊娠できる訳ではありません。この現実をしっかりと認識した上で、ご夫婦の強い想いや考え方を共有して、ご夫婦仲良く『上手な妊活』をしていただくことを切望します。その一助になれますよう、私も日々精進しております。