上手な妊活法とは?精子側から詳しく解説

黒田優佳子 医師
この記事の執筆者 医師・医学博士 黒田 優佳子

慶應義塾大学医学部卒業後、同大学大学院にて医学博士号を取得。
その後、東京大学医科学研究所 生殖医療研究チームの研究員として、男性不妊に関する基礎・臨床研究に従事。
臨床精子学の第一人者としての専門性を活かし、男性不妊に特化したクリニック「黒田IMR(International Medical Reproduction)」を開院。
診察から精子検査・選別処理、技術提供に至るまで、すべてを一人の医師として担う体制を確立。専門性の高い診療を少数精鋭で提供しつつ、啓発・講演活動にも取り組んでいる。

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【不妊治療】上手な妊活法について精子側から解説

この記事では『上手な妊活法』についてまとめました。是非お役ていただき、効率の良い妊活をしてください。とくに以下のような方は、ご一読ください。

 ◎妊活に向けて「何からやるべきだろうか?」と考えている方
 ◎不妊治療が初めてのご夫婦

 ◎もしかして「男性不妊かもしれない?」と心配されている方
 ◎すでに男性不妊と診断された方

 ◎妻の年齢が40歳代で、妊活に時間的な効率化を図りたいご夫婦

 顕微授精反復不成功(顕微授精を繰り返しているが、成果に繋がらない)ご夫婦
 ・胚移植まで進むが、全く着床しないケース
 ・全く胚移植に至らないケース
 ・顕微授精のリスク(先天異常児との因果関係)を心配されているケース
 ・このまま終わりのない辛い不妊治療を継続しても無意味かと感じているケース

目次

最初に!女性より先に男性の「精子の精密検査」をしてください!

体外受精や顕微授精などの生殖補助医療も普及し、不妊治療も身近な医療になってきました。とくに2022年4月からは不妊治療が保険化されましたので(治療内容や医療機関によっては自費診療)、経済的な負担が軽減したご夫婦も多く、若い世代には一層身近になりました。しかし、どうしても女性側の治療に伴う精神的、肉体的、時間的な負担は避けられないのが不妊治療です。それらの負担を少しでも軽減させるためにも、ご夫婦が仲良く「上手な妊活」をすることが大切です。最も効率的な妊活法は、最初に男性側の「精子の精密検査」を受けていただくことです。
これまで「不妊」と言えば、女性側の問題として捉えられてきましたので、女性よりも先に男性が検査をすることに疑問をもたれる方も多いことでしょう。なぜでしょう?結論から申し上げれば「精子の問題をいかに解決できるか!」が妊活の鍵になるからです。その点について、この記事では分かり易く解説したいと思います。

不妊原因の約半数は男性側の「精子の異常!」その大半が「遺伝子異常」による精子異常!だから男性不妊治療は難航します

実は、不妊の約半数は、男性側に原因がある「男性不妊」です。また、男性不妊の約90%が、精子に何かしらの異常がある『精子異常』なのです。
精子異常は、多くの施設では、通常の位相差顕微鏡で精液を観察して見た目だけで判定する「精子数の減少」や「運動率の低下」を指します。しかし実際のところ、不妊に直結する精子異常の殆どは、位相差顕微鏡では見えない、精子の中に隠れた異常を有する『隠れ精子異常』になります。隠れ精子異常の背景には『新生突然変異』という、父親から受け継いた遺伝子ではなく、突発的に発生した不運な遺伝子の異常(遺伝子の突然変異)が関与しています。すなわち、一般的に精子の問題は、卵子の老化と同様に加齢に伴い悪化するように報道されていますが、本当のところは、遺伝子異常(先天異常)による男性不妊の頻度が高いということです。

多くの施設では、精子異常となりますと顕微授精が適応されますが、残念ながら顕微授精は遺伝子異常を克服できる技術ではありませんので、成果に繋げることは困難です。その結果として、治療現場では、顕微授精反復不成功例(顕微授精を繰り返しても成果に繋がらないご夫婦)の精子の8割に精子異常が高頻度で見つかるという厳しい現実があります。また治療を反復しているうちに妻の加齢による卵子の老化も加わり、二重苦になるという辛い現実も重なります。この現実の陰では、不妊治療を始めた夫婦の半数以上は妊娠に至らずに治療を終えるという実態があり、生殖補助医療の実施件数が年々増加傾向にあるにもかかわらず、総出生率が低下している事実は、現場の影の実態を裏付けています。

最初に「精子の精密検査」をすることが、治療反復不成功に陥らない『上手な妊活法!』です

【不妊治療】最初に制しの精密検査

不妊治療において、いくら妻の治療がうまくいっても、夫の精子に問題があれば妊娠率は上がりません。この辛すぎる現実を回避するためにも、男性が妊活に向けて最初にやるべきことは(できれば不妊治療を開始する前に)、分子生物学的な特殊検査法による精子精密検査を行い、科学的根拠に基づいた精子詳細情報を取得(把握)し、隠れ精子異常の種類と程度を見極めることが『上手な妊活法の入り口戦略』になります。

精子精密検査で詳細情報が得られることにより、その後の具体案が適正化・明確化しますので、経済的・精神的・肉体的・時間的な効率化に繋がります

精子精密検査で詳細情報が得られることにより、精子側から

1.「不妊治療が必要とされるか、されないか」という治療適応の有無が明確になります。

2.治療が必要になった場合には、「どのような治療法が安全かつ最適なのか」という、治療の個別化・適正化プランが明確化します。

3.ある程度 妊娠の可能性等の治療成果(治療の見通し)を見据えて方針を決定できます。


結果として、経済的・精神的・肉体的・時間的な効率化に繋がります。
なるべく早い時点で、精子精密検査を受けて、上手に効率よく妊活してください。

黒田院長からのメッセージ

正直なところ、全ての不妊ご夫婦が、治療の土俵に上がれるわけではありません。また、治療の土俵に乗っても皆が皆、妊娠できる訳ではありません。この現実をしっかりと認識した上で、ご夫婦の強い想いや考え方を共有して、ご夫婦仲良く『上手な妊活』をしていただくことを切望します。その一助になれますよう、私も日々精進しております。

上手な妊活法と効率化(タイムパフォーマス)に関するFAQ

妊活や不妊治療を始める際、妻よりも「先」に夫(男性側)が検査を受けるべきだと言われるのはなぜですか?

不妊治療が開始されると女性には物理的・肉体的・精神的な多くの負担(通院時間の確保、排卵誘発剤投与、採卵処置など)がかかります。その女性側の負担を最小限に抑える防御策が「事前に高精度精子検査を受ける」ことです。なぜならば「精子異常があるか否か」が治療成果の鍵になるからです。
実は「精子異常」が原因で不妊になっているケースは意外と多く、全体の約半数を占めます。と言うことは、いくら女性側が辛い思いをして治療を頑張っても、精子に異常があるままでは妊娠に至りません。「とりあえず女性から検査を…」と見切り発車するのではなく、「真っ先に男性から高精度な精子検査」を実施して、科学的な根拠に基づいた正確な精子妊孕性(妊娠させる精子の実力)を把握することこそが、最も無駄のない効率的な「上手な妊活」になります。

何度も顕微授精を繰り返して移植まで進みますが、結果が出ません。このまま同じ治療を続けるべきでしょうか?

そのまま漫然と顕微授精を続けることはお勧めできません。なぜなら、顕微授精で成果が出ない「反復不成功」のご夫婦を対象に高精度精子検査を実施しますと、その約8割に「隠れ精子異常」が見つかるという厳しい現実があるからです。 隠れ異常の背景には生まれつきの「遺伝子異常」が関与していますので治療が難航しますが、顕微授精は遺伝子異常を治せる魔法の技術ではありません。遺伝子の問題が背景にある隠れ異常精子による男性不妊を対象に顕微授精を実施しても成果にはなりません。治療を反復しているうちに時間が過ぎ去り、妻の年齢も上がって「卵子の老化」も加わるという「二重苦」になります。終わりのない不妊治療に陥らないためにも一旦治療を立ち止まり、精子の精密検査を行って「顕微授精不成功の根本的な原因」を解析することが重要です。反復不成功のご夫婦は、治療戦略の転換が必要です。

高度な「精子の精密検査」を受けることで、具体的にどのようなメリットが得られますか?

最大のメリットは、高精度精子検査により科学的根拠に基づいた隠れ精子異常の詳細情報が取得できることにより、治療の「見通し」や「リスク」を予測できることです。
隠れ精子異常があると治療が難航し、また成果になっても出生児に何らかの影響が及ぶリスクがあります。また一般精液検査では隠れ精子異常を検知できません。だからこそ、なるべく早い時点で高精度精子検査を行ってください。最初に「隠れ精子異常の有無、種類、程度」を明確に把握できることは、その後の「最適で安全な治療法」を具体化できます。高精度精子検査をして、治療を適正に進め、効率的な不妊治療をしてください。

黒田メソッド:黒田IMRの高度な精子選別技術について

Author information

黒田インターナショナル メディカル リプロダクション院長。不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる。

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