- 男性不妊治療の専門クリニック│黒田インターナショナルメディカルリプロダクション
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- 不妊治療を協力的でない旦那様│どうすれば必要性を伝えられる?
更新日:2023.09.15
不妊治療を協力的でない旦那様│どうすれば必要性を伝えられる?
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非協力的で起こる問題
2022年4月から不妊治療が保険化されました。しかし、保険診療で治療できる回数に女性の年齢制限があります。つまり、自費診療(保険適応外)で治療を継続しなくてはならない場合もでてきます。その経済的・精神的・肉体的負担を軽減するためにも、夫婦で不妊治療への正しい知識と理解を共有して、『二人の子供を持ちたい』という強い気持ちを一つにしてから治療に着手することが極めて重要になります。
夫婦の気持ちに温度差があり、特に夫が非協力的な場合は、治療を通して夫婦の負の部分ばかりが強調されてしまい心の溝が深まり、結果として離婚(裁判)になる可能性も否定できません。
また不妊治療の現場では、治療限界が明確にされないまま(治療の見通しが曖昧のまま) 同じ治療を反復している夫婦(反復不成功例)が多いという辛い現実があります。その反復治療の結果、妻の年齢が高齢化して卵子の老化が進み、二重苦になられているケースも少なくありません。
後述しますが、不妊の約半数は男性側に原因がある「男性不妊」です。しかも男性不妊の約9割は精子に問題がある「精子異常」で、上述した反復不成功例の8割は精子異常が背景にあります。すなわち、精子異常による男性不妊の比率は極めて高く、その場合には治療が難航するということです。
治療の継続を希望する(治療を辞める決断ができない)場合は、『終わりのない不妊治療』に陥る可能性がありますので、男性も不妊治療に対する知識と理解を高めていただくことは重要です。治療を開始する前に、夫の気持ちと妻の気持ちを共有できるまで しっかり話し合いを重ねてください。お互いに思いやる心を持って治療に望むことができれば、一緒に不妊治療を乗り越えていくことができます。
本当に、不妊治療は女性側だけの問題なのか?
夫婦で妊活を始めて「なかなか妊娠しない」、もしかしたら「不妊かもしれない?」と不安を感じた時、最初に専門医療機関を受診するのは、多くの場合 妻側になります。夫側が真っ先に受診するというケースは極めて少なく、未だに、妊娠できないのは「女性側の問題?」と思われがちです。
しかし上述しましたが、不妊の約半数は男性不妊で、しかもその約9割は精子異常になります。つまり不妊は、女性側だけの問題ではなく、男性側の精子に原因がある場合も多いのです。また精子異常の背景には、遺伝子の突然変異による異常(先天異常)が関与しているケースも少なくないため、正直なところ、精子異常の不妊治療は難航します。この点が、上述した『反復不成功例の8割の背景に精子異常がある』と申し上げた理由です。
遺伝子の突然変異とうことは、父親から受け継いた遺伝子ではなく、突発的に発生した不運な遺伝子の異常なわけですから、予知することもできませんし、予防法もありません。ですから、不妊治療を開始する前に『精子の精密検査』を受けられることが、経済的・精神的・肉体的・時間的な負担の軽減に繋がり、とても効率的です。
不妊治療を協力してもらうために
不妊原因が夫側に認められた場合においても、体外受精や顕微授精等の治療が開始されますと、物理的・精神的・肉体的な負担は妻側に大きくかかります。
その点を夫婦で十分に理解して、お互いを尊重して支え合うことが極めて大切になります。夫婦の気持ちを一つにして前向きに頑張ることができれば、治療を通して辛い問題に遭遇したとしても一緒に乗り越えることができ、夫婦の絆(愛情)を一層深めることにも繋がります。
一方で、夫婦の気持ちに温度差があり、特に夫が非協力的な場合は、お互いの心の溝が深まり、離婚(裁判)になられたケースも経験しております。
不妊治療に限らず夫婦円満の鍵は、お互いに「感謝する気持ち」を忘れず、できれば言葉に出して心から「ありがとう」を言えることにあるのでないでしょうか。
最後に・・・
・そもそも本当に二人の子供が「欲しいのか」、「子供への思いの深さ」について
・不妊治療は夫婦二人で貫く「孤独な医療」であることを受け入れられるのか、治療に向けた「強い気持ち」について
・「精子異常による男性不妊であった場合、治療が難航」する可能性を視野に入れて「夫婦仲良く協力」できるのか
・「治療費」や「治療期間」など、夫婦で「だいたいの目安」をつけてから治療に取り組めるのか
等々、改めて夫婦で向き合って ゆっくり話してみてもいいのかもしれません。
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監修者│黒田 優佳子
黒田インターナショナル メディカル リプロダクション院長。不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる。