医療の原点は「命を救う」ことにあり、通常では治療前に「どんなリスクがあるのか」について、副作用も含めて主治医から詳細に説明されます。一方で、不妊治療は「命を造り出すこと」にあり、通常の医療行為とは意味合いが全く異なります。正に、誕生させる命にリコールはありません。
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不妊治療は生まれてきた子どもの将来も考える必要がある
【必読してください!】不妊治療の本質は『染色体の移植医療』ですから、精子と卵子を組み合わせて『命を造り出す』不妊治療は、生産物責任法、PL(product-liability)法の範疇に含まれます。また医療機関は治療の安全に最大限の努力を払う善管注意義務を負っています。
不妊治療における善管注意義務とは『生まれてきた子どもが一生元気に過ごせるよう努力すること』にあり、ここに『本来の不妊治療のゴール』があります。
どんなに革新的な不妊治療が行われようと「安全」が何よりも優先されなければなりませんので、『不妊治療のゴールは受精すること、妊娠することではない』のです。不妊治療は医療の中でも特殊であり、生まれてくる子どもから治療への承諾を得られないまま開始される医療であることをしっかりと認識しなくてはいけません。
自分たち夫婦に「最適かつ安全な」不妊治療を選択すること!
多くの医療機関において、男性不妊の治療法として顕微授精が展開されています。ここで最も重要なポイントをお伝えします。顕微授精の治療対象になる男性不妊の方の精子異常には、先天性の問題、遺伝子異常が関与しているケースが殆どですが、顕微授精は あくまでも「精子の数が少ない」という「数的な不足」を補う技術であり、精子の「遺伝子異常」という「質的な異常」を克服できる技術ではないという点です。その点に関する認識が極めて乏しいことが、成果に繋がらない顕微授精の反復を招き、さらには顕微授精のリスクを招いているのです。
将来的にも遺伝子の問題を根本的に治せる技術(根治療法)は おそらく登場しないことでしょう。その点を踏まえ『治療を止める勇気』が必要な場合もあるのです。不妊治療を希望する全ての夫婦が、不妊治療の適応基準を満たして治療の土俵に乗れる訳ではありません。また治療の土俵に乗れても皆が『本来の不妊治療のゴール』に辿り着ける訳でもないのです。
大切なことは「どのような」治療技術を「どのように」組み合わせれば、自分たち夫婦に「最適で安全な」不妊治療に「安心して」臨めるのか!ということです。この点をしっかりと理解して、納得した上で不妊治療に関わっていくことです。そうすれば・・・最終的に子どもを授かっても授からなくても、その後の幸せな人生に繋げることができるのではないでしょうか。