公開日:2023.09.15 
更新日:2023.09.21

精索静脈瘤と男性不妊の関係について

監修者 | 黒田 優佳子
男性不妊治療の専門である黒田IMRの院長

精子学の研究者であり医師である視点から、
不妊治療における誤解やリスクを解説

精索静脈瘤と男性不妊の関係について

精索静脈瘤とは?

精巣では たくさんの精子が造られていますが、精巣の栄養は精巣動静脈により司られています。一般的に静脈には血液の逆流を防ぐための弁があります。精巣静脈にも逆流防止の弁がありますが、その弁に異常が起きることにより生じた逆流で精巣静脈が太くなって瘤(こぶ)状になり、血液がうっ滞した状態になります。これを「精索静脈瘤」と呼びます。

この場合、静脈瘤が血流を障害し、陰嚢内の温度が上昇することが造精機能障害の一因になり、精子数が減少すると考えられていますが、中には精子が上手く造られていても体温上昇に伴って精子の劣化(老化・変性)が進み、精子数の減少に繋がっているのかもしれません。

精索静脈瘤の頻度と治療法は?

精索静脈瘤の治療をしても、遺伝子異常による男性不妊(精子異常)には効果なし

一般男性の約15%に精索静脈瘤が認められると言われていますが、不妊男性においては その比率が40%程度まで高くなります。治療法としては、手術で静脈瘤を治すと精子形成が60~70%は正常に戻ると説明されています。確かに精巣(造精機能)自体に問題がない場合は手術で回復しますが、ご注意いただきたいのは、精巣自体に精子を上手く造れない原因がある(造精機能障害)場合、とくに背景に遺伝子の問題(遺伝子異常)があって先天的に精子がうまく造れない場合は手術をしても効果は認められません。

ですから、精索静脈瘤の手術をする前に精子機能を詳細に調べられる高精度な精子検査を受けて、精巣自体に造精機能障害があるか否かを鑑別(区別)することが不可欠です。その上で手術の必要性を判断することが望まれます。

精索静脈瘤の治療後には、必ず高精度な精子検査を受けてください

一般的に精索静脈瘤の手術後には、精子濃度や運動率が どの程度増加したのかを観察しますが、治療効果と安全性を正確に判定するには これらの指標では不十分です。高度な精子選別技術により精液から妊孕性のない精子を排除した上で厳選した運動精子の中に「高品質な精子が どのくらい増えたのか」、言い換えれば「隠れ異常精子が どのくらい減ったのか」を正確に調べることができる高精度な精子検査をすることが不可欠です。

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監修者│黒田 優佳子

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監修者│黒田 優佳子

黒田インターナショナル メディカル リプロダクション院長。不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる。

出版
不妊治療の真実 世界が認める最新臨床精子学
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