🟢Q1 、妊活は何からやればいいの?
結論から言えば、「精子の問題をいかに解決できるか!」が妊活の鍵になりますので、なるべく早い時点で『精子の検査』を受けて効率的に妊活を進めましょう。
不妊症は女性の問題と思われがちですが、実は、不妊になる原因の約半数は男性側の精子に問題がある「精子異常」です。生活習慣の改善や手術などで改善が期待される精子異常もありますが、実は治療抵抗性の精子異常が多いのも事実です。
だからこそ、早い時点で精子の検査を受けて「精子の問題を明確化しておく」ことが効率的な上手な妊活になります。女性側の不妊検査は沢山ありますが、男性側は主に『精液検査』になります。
コラム:妊活男性は精子検査から始めよう!精子の老化や妊孕性について
🟡Q2、精子の質が悪いのは、なぜ?
結論から言えば、精子の質を悪くさせている原因には、先天性(生まれた時から)の場合と後天性(生まれた後から)の場合があります。
実は、不妊治療対象になる精子の問題の大半は、先天性の精子異常です。
学術的に解説しますと、『新生突然変異』という『遺伝情報DNAのコピーミス:遺伝子異常』が精子形成過程で起きてくることにより発症します。
この先天性精子異常の場合は、生活習慣の改善や手術、サプリメント、漢方療法等で改善することは期待できません。
世間一般では、卵子と同様に「加齢とともに精子の質も低下する」と語られていますが、お話したように、その主な原因は新生突然変異という遺伝子異常ですので、卵子と違って「精子は加齢の影響は低い」というのが真実です。
だからこそ、早い時点で精子の検査を受けて「治療抵抗性か否か、精子の問題を明確化しておく」ことが効率的な上手な妊活になります。
ページ:『隠れ異常を検知できる高精度な精子検査』とは?
🟣Q3、妊娠させられる精子とは?
世間一般では「精子が元気に泳いでいれば問題なし」、つまり「運動精子=良好精子」といったイメージが定着し、「運動精子ならば妊娠させられる」と認識されています。
しかし結論から言えば、そうではありません。
実は、運動良好な精子の中にも、見えないところにDNA(遺伝情報)や先体(卵子と受精する際に重要な役割をするところ)や細胞膜(精子を包んでいる膜)が傷ついていたり、頭の中に空胞(穴)が開いていたり、多様な異常が隠れ潜んでいる精子が多いのです。
妊娠させられる精子であるためには、「泳いでいる」ということのみならず、「DNAや先体、細胞膜の損傷なし」「先体機能正常」「内部構造正常」「代謝機能正常」ほか、精子の中に付帯する重要な機能に異常が認められないという条件が必須です。
●Q4 、不妊治療に協力的でない夫、円滑な妊活アプローチ方法は?
結論から言えば、円滑に妊活をするためには、治療開始前に夫婦間でしっかり話し合いを重ねることです。その趣旨は、夫に「不妊の約半数は、精子に問題がある精子異常が占め、男性不妊が意外と多いこと」「夫婦のどちらに不妊原因があるにしても、治療を開始すると女性側に大きなストレスがかかること」「不妊治療には経済的・精神的・肉体的・時間的な負担がかかること」等について理解を深めていただくことです。また不妊治療をした夫婦が皆、成果に繋がり妊娠して出産できるわけではありませんので、治療が難航した時のことを視野に入れて「夫婦仲良く、治療の止め時を決定できるのか」等についても話し合えることができたら理想的です。その上で「二人の子供を持ちたい!」という強い気持ちを共有して、お互いを尊重しながら協力して治療に取り組む姿勢を構築できれば円滑に妊活することが可能になります。
🔴Q5、顕微授精にリスクってあるの?
結論から言えば、表面化していませんが、顕微授精の最も怖い点は、受精できない精子や受精すると危険な精子(例えば、遺伝情報DNAや頭部内部構造や細胞膜等が傷ついた精子)でも人工的に授精させてしまい、妊娠出産に至った場合に、出生児に何かしらの異常を発現させるリスクがある点です。さらに怖い点は、治療現場では、一般精液検査で用いる普通の顕微鏡(位相差顕微鏡)で観察して「運動精子=良好精子」という認識で、運動精子を治療に用いていますが、実は受精できない精子や受精すると危険な精子は位相差顕微鏡では検知されませんので、それらの異常が見逃された運動精子が顕微授精に用いられているリスクがある点です。その顕微授精のリスク回避をするためにも、事前に受精できない精子や受精すると危険な精子を検知できる「分子生物学的な手法による高精度な精子検査」を実施しておくことが大切になります。