精液検査の方法・手順とは? 一般精液検査の問題点や注意点を解説

黒田優佳子 医師
この記事の執筆者 医師・医学博士 黒田 優佳子

慶應義塾大学医学部卒業後、同大学大学院にて医学博士号を取得。
その後、東京大学医科学研究所 生殖医療研究チームの研究員として、男性不妊に関する基礎・臨床研究に従事。
臨床精子学の第一人者としての専門性を活かし、男性不妊に特化したクリニック「黒田IMR(International Medical Reproduction)」を開院。
診察から精子検査・選別処理、技術提供に至るまで、すべてを一人の医師として担う体制を確立。専門性の高い診療を少数精鋭で提供しつつ、啓発・講演活動にも取り組んでいる。

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<この記事のまとめ>

1.一般精液検査は、位相差顕微鏡を用いて主に「精子濃度」「運動率」「正常形態率」を測り、「おおまかな精子妊孕性:妊娠させる力」を「迅速」かつ「簡易的」に「低コスト」で検査する方法です。

2.一般精液検査の手順は、以下の通りです。
① 自宅採精(持ち込み)の場合は、医療機関から事前に精液を採取する滅菌容器を貰う
② 3~5日程度の禁欲期間を考慮の上で検査日を予約する
③ 採精した容器を持参(持ち込み)、もしくは 院内で採精して精液を提出する
④ 早ければ当日1時間以内に上記項目の結果が得られる

3.一般精液検査の問題点は、精子妊孕性を正確に評価することができない点です。そのため、重要な精子の異常が見逃されたまま間違った治療法に展開される可能性・リスクがあり、要注意です。

目次

一般精液検査の方法について

男性側の不妊検査は、主に精液検査になります。精液検査で精子の状態を正確に把握することは、不妊治療の方針を決定する上で極めて重要です。

一般精液検査の方法は、以下の通りですが、本法では「迅速」「簡易的」「低コスト」に「おおまかな精子妊孕性」をみている検査になります。

検査方法

① 採取された精液1滴をガラス板の上に滴下します。

② 位相差顕微鏡を用いて200~400倍の倍率で観察します。

③ 主な検査項目は、精子濃度(1ml中の精子数)、運動率(運動している精子の割合)、正常形態率(大まかな頭部の形)などになります。

【DOCTOR COMMENT ─黒田院長コメント】

一般精液検査では、精子妊孕性を「正確に」評価することはできませんので、重要な精子異常が見逃されたまま不適切な治療法に展開されるリスクがある点に課題があります。不妊治療成功の鍵は「いかに精子の問題を解決できるか」にあります。あまり知られていませんが、適正な治療法を決定する上で、「精子に どのような異常があるのか」という「精子異常の種類と程度」を正確に把握することが極めて重要になります。

検査項目

一般精液検査では、以下表にあるWHOが定めた基準値をベースに男性不妊(乏精子症や精子無力症)の診断をします。

精液所見に対しての下限基準値
(5%タイルと95%の信頼範囲)

 パラメーター下限基準値
2021年
精液量(mL)1.4(1.3-1.5)
精子濃度(百万/mL)16(15-18)
総精子数(百万/精液中)39(35-40)
運動率(%)42(40-43)
前進運動率(%)30(29-31)
生存率(%)54(50-56)
正常形態率(%)4(3.9-4.0)

※参考:WHOラボマニュアル第6版2021年7月27日

【重要ポイント】一般精液検査では、精子の中に隠れ潜んだ異常(これを『隠れ精子異常』という)を検知することができません。隠れ精子異常が認められる男性不妊治療は難航する傾向がありますので、その存在の有無を「事前に正確に把握」しておくことが「不妊治療の鍵」になります。

また最も怖い点は、隠れ異常精子が受精に関わり、妊娠、出産に至った場合、出生児の健康に何かしらの影響を及ぼす可能性・リスクを否定できない点にあります。そのため、「出生児の健常性向上」の視点から、受精に用いる精子の中から隠れ異常精子を「事前に排除」しておくことが推奨されます。
詳細は「一般精液検査の問題点」の項で解説しております。

検査結果は「いつ」出るか?

一般精液検査においては、採精した容器(精液)を提出してから 30分~60分前後で検査結果が出ます。ただし「簡易的」な検査だからこそ「迅速」に検査結果が得られますが、正確性は乏しく、おおまかな精子妊孕性の評価になります。

一般精液検査の手順について

一般精液検査の手順は以下の流れで進行いたします。

① 自宅採精(持ち込み)の場合は、医療機関から事前に精液を採取する滅菌容器を預かります。
② 3~5日程度の禁欲期間を考慮の上で検査日を予約して受診していただきます。
③ 採精された容器を持参いただくか(持ち込み)、もしくは 院内採精室で滅菌容器に採取、精液を提出していただきます。
④ 精液中の精子の状態を検査します。早ければ当日1時間以内に結果が報告されます。

※ 医療機関によっては「自宅で採精して持参する方法」を許可していますが、個人的には「院内の採精室で採取する方法」をお勧めします。
詳細は「精液検査を受ける時の注意事項3つ 」の項で解説しております。

精液検査を受ける時の注意事項3つ

(1)自宅での精液採取は、搬送に伴う時間経過や不適切な温度管理が精子に悪影響を及ぼす可能性がある

医療機関によっては、自宅で採精して精液を自己搬送することを許可しています。自宅の方がリラックスして採精できるかと思いますが、精子は大変デリケートな細胞ですので、精子妊孕性を正確に評価するためには、採取直後からの観察が必要になります。なぜならば、採取してから時間が経過してしまったり、搬送する環境条件が悪かったりすることで、精子の状態は著しく変化するからです。以下に、わかりやすく説明します。

精液中には常在菌がいますので、夏場は自己搬送中に菌の繁殖が進みます。一方で、寒すぎてもよくないので、冬場の自己搬送においても最適な温度管理は難しくなります。ですから例えば、精液検査の結果が良くなかった場合、搬送条件(時間経過、温度管理など)が適正でなかった可能性も考慮に入れて判断する必要があるということです。

【重要ポイント】精子の正確な詳細情報(精子妊孕性の評価)は、その後の適正な治療戦略を具体化させるために極めて重要ですので、なるべく医療機関で採取されることをお勧めします。

(2) 検査に向けた適正な禁欲期間には個人差が大きい

精巣で上手く造られた精子でも禁欲期間が長くなると、精巣上体で射精を待つ間に精子を包み込んでいる膜(細胞膜)に傷がつき、また精子頭部に収納されているDNAが損傷され、さらには運動も失われてきます。逆に、毎日射精するように禁欲期間が短いと、精子濃度は極端に下がり、また精液中に未成熟な精子が目立つようになります。

すなわち、成熟した精子をある程度の数、射精するには一定の禁欲期間が必要になるということです。一般的に 3~5日程度の禁欲期間が推奨されていますが、適正な禁欲期間には個人差が大きく、一概に何日の禁欲期間がよいと言い切ることはできません

【重要ポイント】正確に言えば、各個人の精子の品質に見合った適正な禁欲期間があるということです。

(3) 採精のコンディションに伴って精子濃度の変動幅は大きくなる

検査をされた方であれば、その都度「精子が増えた」「減った」と一喜一憂されることと思います。ただ、ここで注意点があります。

精液は、射精時に前立腺やその後ろにある精嚢腺の分泌液が、精巣上体で成熟を進めている精子を含む分泌物を押し出し、それらが混ざり合ってできた白濁液ですので、採精時のマスターベーションが上手くできたか否かにより、精巣上体の分泌物を押し出す前立腺や精嚢腺の分泌液の量が大きく増減します。その結果として、精液は薄まったり濃くなったりします

【重要ポイント】つまり、マスターベーションの具合により、精液量(射精される液量)と精子濃度は大きく変動しますので、精子濃度は精子妊孕性を評価する良い指標ではないということです。

一般精液検査の問題点

(1) 一般精液検査で精子濃度や運動率が良好だからといって安心できない

一般精液検査で調べる精子濃度と運動率の数値は、妊娠率に大きく影響すると考えられていますが、実はそれは誤解です。例えば10万人の統計をとれば、精子濃度や運動率が高い精子は、女性を妊娠させる力が高い傾向にあるということは言えますが、個人レベルでは そう簡単な話ではなく、顕微鏡で見た精子数や運動率が良好だからといって安心できません反対に、精液検査の結果が悪い(精子数が少ない・運動率が低い)からといって悲観するのも早計です

そこで私たち精子研究チーム(詳細は、黒田IMRのホームページを参照ください)は、細胞の重さの違いを利用して、上手く造られなかった精子や消費期限が切れてしまった精子など「明らかに不要な劣化精子」を取り除く技術を確立しました。劣化精子を排除した後の残った精子を『実効精子』と名づけましたが、「実効精子数」は 精子濃度より、正確な精子妊孕性の指標になります。

(2) 一般精液検査では「隠れ精子異常」を検知できない欠点がある

不妊治療の現場では「良好精子=楕円頭部の運動精子」という認識が定着していますので、運動精子が治療に用いられています。しかし、運動良好な精子の中に様々な機能異常(DNA・細胞膜の損傷、先体・中片部・尾部の異常)が隠れ潜んでいるケースも多くあります。私たち研究チームは これを『隠れ精子異常』と呼んでいますが、隠れ精子異常の種類と程度に応じて妊孕性は下がりますので、治療開始前に隠れ精子異常の存在を正確に把握しておくことが不可欠です。

しかし、一般精液検査の最大の問題点は、隠れ精子異常を検知できないという点です。その影では、隠れ精子異常が見逃されたまま間違った治療法に展開される危険性があります

そこで私ども研究チームでは、分子生物学的な視点から「隠れ異常を検知できる」高精度な精子検査法を確立しました。大変手間のかかる観察法ですが、科学的根拠に基づいた正確な精子詳細情報を取得できますので、「精子の実効偏差値:真の精子妊孕性」を評価するには相応しい新しい精子検査です。

精子研究中の画像

【他院との違い】黒田IMRの精液検査について

黒田IMRの真価の1つは「精子側の関連技術に特化」していることです。言い換えれば、黒田IMRは「男性不妊の検査と治療に特化」した高度生殖補助医療の専門施設です。

具体的に言えば、黒田IMRならではの緻密な精度の高い精子検査(詳細は後述)を実施できますので、「隠れ異常の有無のみならず、科学的根拠に基づいた精子側の詳細情報を取得」して「正確な精子妊孕性を把握」することが可能になります。その結果、その方の精子のタイプに最も相応しい「適正な男性不妊治療を組み立てる」ことができますので「効率的な不妊治療戦略・上手な妊活」に繋がり、成功への近道になります。

この「一連の個別化した特殊技術」と「データに基づいた、解りやすい丁寧な解説」を院長自らが ご夫婦毎に実践してご提供できるところに、精子側技術に特化した黒田IMRの男性不妊治療の真価があります。

また精液検査を受ける際に大切なことは、時間的に焦らず 周囲の視線を気にせず リラックスして採精できることです。黒田IMRでは、他のご夫婦と時間的な重なりを回避できる「完全個別対応」の「完全予約システム」にしておりますので、男性の方も安心していらしてください。

【画像解説】黒田IMRの具体的な精液検査の詳細

黒田IMRの精液検査では、一般精液検査で これまで見逃されてきた「隠れ精子異常」の存在を検知することが可能ですので、その方の精子のタイプに最適かつ安全な「個別化男性不妊治療プラン」を設計できます。

一般精液検査の最大の問題点は・・・

1 . 主に「精子濃度」「運動率」「形態」を観察していますが、採取の度に精子濃度が変動する可能性があること

2 . また精子の中に隠れ潜んでいる様々な機能異常「隠れ精子異常」を検知できないこと

3 . その影で、隠れ精子異常が見逃されたまま間違った治療法に展開される危険性があること
等をお話してきました。

以下に新しい高精度精子検査の検査項目を紹介します。

① 精子頭部と尾部の形態検査

これまで精子の形態を観察する際には、頭部の外周形状が楕円であることが正常性の指標として重要視されてきましたので、「楕円頭部の精子であれば良好である」と考えられ、頭部形態だけを観察することを目的とした染色法が広く用いられてきました。しかし私どもが『ヒト精子』の研究を進めていく過程で、頭部のみならず尾部や中片部(頭部と尾部の間の部分)の形態を高精度に観察できる新しい染色法を確立したことにより、頭部が楕円形でも大小不同があり、また中片部や尾部にも多様な形態異常があることが明らかになりました(以下、写真参照)。

頭部・中片部・尾部異常精子

異常精子の画像

頭部・中片部・尾部異常精子

② 精子頭部の空胞検査:頭部の中の空胞(穴)の観察

精子は最終的に成熟が完了する段階になると、精子頭部に収納されたDNAを保護している核タンパク質はヒストンからプロタミンに置換され、さらにプロタミン同士が架橋して(手をつないで)圧縮され、結果として頭部が楕円形になります。

私たち研究チームは、精子に特有な核タンパク質のプロタミンを特異的に染色する方法を確立し、一見 良好精子と思われる楕円頭部の運動精子の中にも内部に多数の空胞を認める「頭部空胞精子」が含まれていることを明らかとしました(以下、写真参照)。空胞は染色されませんので、白く抜けて見えます。

精子の頭部空胞の画像

③ 精子先体の形態と機能検査:卵子侵入に関わる先体の観察

「先体」はヘルメットのように精子頭部の前半分を覆っている袋状の小器官です。この袋の中には、受精時に精子が卵子の膜を溶かすための酵素が入っています。ちょうど良いタイミングで卵子に到達した精子は、ヘルメットを脱いで卵子に侵入し、受精するために必要な生理学的な反応を起こします。この一連の仕組みを「先体反応」といいます。生殖補助医療において精子の何%に「先体がついているか」「卵子に侵入する準備ができるか」「先体反応を起こすことができるか」を精密に調べることは極めて重要です。

その点を踏まえて、私たち研究チームは「先体が存在するのか」「先体の膜が正常か」「先体反応を誘起できるのか」を正確に確認できる高精度な染色法を確立しました(以下、写真参照)。その結果、「先体の能力」に見合った最適な治療法を選択することが可能になりました

先体欠損精子の画像

先体正常精子

先体欠損精子

洗体膜精子の画像

緑色:先体膜正常精子

赤色:先体膜損傷精子

④ 精子DNA損傷検査:DNA fiberの切断(断片化)の進行程度の観察

最近 私のもとを訪れる夫婦は、すでに長い不妊治療歴があるが全く結果に繋がらない方や、現在通院しているクリニックで「精子のDNAに傷がついている」と言われたので詳細に調べて欲しいという方が大変多くなりました。その背景には、数年前から「精子の老化」というテーマで男性不妊の特集番組が放送され、その中で精子DNAの傷と男性不妊の関連が紹介されたことで、簡易式検査キットが販売されるようになったことがあります。

【key point:精子DNA損傷に関する豆知識】

体を構成する細胞(体細胞)には、DNAに傷がつくとすぐに修復される仕組み(DNA修復機構)があります。修復に成功すれば生き延びますが、失敗すれば死んでしまいます。一方で、精子は特殊な細胞ですので形成過程でDNAを修復する力を失ってしまい、様々な原因によってできたDNAの傷は修復されず、そのまま残ってしまいます。その結果、見かけが元気な運動精子であっても傷ついたDNAを持った精子も混ざってきます。

DNAがひどく傷ついた精子の多くは受精しません。たとえ受精しても胚の発生が継続しませんので、胚の発生停止や流産(自然淘汰)になり命の誕生にまで至りません。一方で、わずかな精子DNAの傷ならば、受精する機能に問題がなければ受精して発生が継続してしまいます。運良く受精後に卵子が精子DNAの傷を修復してくれる場合もありますが、ほんの僅かの傷を治すのが精一杯なので、その修復が不完全に終わってしまった場合には、子どもの健康に何かしらの影響を及ぶす可能性、リスクが残ります。

命を造り出す生殖補助医療では、安全な技術の提供が必須になります。ここで最も注意すべき点は、子どもの健康という観点からは、不妊治療の業界で良好精子と言っている元気な精子の中に隠れているDNAの僅かな傷こそがリスクを招くという点です。

私たち研究チームで開発した高精度な精子DNA損傷検査は、世間一般に出回っている色素で精子を染めてDNAの傷を判定する簡易式検査キットによるものではありません。電気泳動という手法(電気の力)を用いて1匹ずつ精子の頭の中に収納されているDNA fiberを引き伸ばして「何パーセントの精子に、どのような種類のDNAの傷(DNA fiberの切断:断片化)が、どの程度あるか」を大変細かく調べることができる高精度な精子DNA検査です。

正直なところ大変に手間はかかりますし、精子DNA損傷を正確に再現性高く調べられる技術を安定させるには熟練を要しますが、黒田IMRでは、精密に調べた精子の詳細情報を 一組一組のご夫婦に時間をかけて科学的な根拠(数々の精子の写真)を丁寧にご説明することは、その後の適正な治療指針を決定する上で極めて重要であると考えて実践しております。

⑤ 精子頭部の細胞膜損傷検査

これまで「精子が泳いでいれば、精子頭部から尾部まで全ての細胞膜は正常である」と考えられてきましたが、本当のところは そうではありません。以下に わかりやすくご説明したいと思います。

体を構成する体細胞では、細胞膜の直下には細胞質(小器官を含む溶液)があり、その下にあるDNAを取り囲んでいます。つまりDNAは細胞質に包まれているため、細胞膜の損傷がDNAに直結しません。一方で、成熟した精子は体細胞と異なり、細胞質を持たない特殊な構造になっていますので、精子頭部の細胞膜直下にはDNAが存在しています。すなわち、緩衝作用になる細胞質がないことにより、細胞膜損傷は直下にあるDNAの傷害に直結します

私たち研究チームは、精子DNAに特異的に結合する色素を使い分けて頭部細胞膜の「傷」を観察する染色法を開発しました(以下、写真参照)。

青色:頭部細胞膜正常精子

赤色:頭部細胞膜損傷精子

⑥ 凍結保存における精子耐凍力検査

精液の精子濃度が低くて受精に必要な精子が足らない場合、つまり「精子数が少ない」場合には一般的には「即 顕微授精を実施」する傾向にあります。しかし、顕微授精のリスクを踏まえますと、安全に命を誕生させるためには、極力 顕微授精を回避すべきということは言うまでもありません。そこで高度に選別した運動精子を凍結備蓄することにより「精子の貯金」が可能になります。しかしここで問題となるのは、凍結精子を融解した時に運動性を失う精子の割合に個人差があることです。

精子耐凍力検査は「選別した高品質精子が凍結保存後に どの程度生き返るか」、つまり、精子の凍結保存に耐える力を調べる検査ですので、精子の厳選という観点から考えると「凍結保存技術は細胞膜が弱い運動精子を排除する手段」になります

黒田IMRでは、精子の「高度な選別」と「丁寧な凍結保存」の両者の技術を組み合わせることにより、ひたすら品質の高い精子の備蓄に励み、治療の安全性と有効性を向上させる努力をしています。

⑦ 精子中片部ミトコンドリアの形態と酸化ストレス機能検査

精子頭部と尾部を連結する部分の中片部にはエネルギー産生に関わるミトコンドリアという小器官と胚分割に重要な役割を果たす中心体が局在しますので、私たちの研究チームは このミトコンドリアを染色して中片部の機能(酸化ストレス)と形態を調べることは重要であると考えて、中片部の正常性を見極める染色法を確立しました(以下、写真参照)。

精子中片部の画像
精子中片部の画像②
精子中片部の画像③
精子中片部の画像④

まとめ

顕微授精を繰り返した後で一般精液検査では検知できなかった「隠れ精子異常」が判明し、夫婦が混乱するような事態を避けるためにも、私たち精子研究チームでは治療開始前に精子精密検査を行っていただき、「真の精子妊孕性=実効偏差値」を正確に把握した上で、その方の精子のタイプに最も相応しい「適正かつ安全な男性不妊治療法」を決定して「治療の見通し」を予測するという、精子側の科学的根拠に基づいた詳細情報の開示を先にする『効率的かつ安全な治療戦略』をご提供しております。ここに『精子側技術に特化した黒田IMRの男性不妊治療の真価』があります

Author information

黒田インターナショナル メディカル リプロダクション院長。不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる。

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