【黒田IMR】院長自らが不妊治療の全行程を「一人」で行う理由

黒田優佳子 医師
この記事の執筆者 医師・医学博士 黒田 優佳子

慶應義塾大学医学部卒業後、同大学大学院にて医学博士号を取得。
その後、東京大学医科学研究所 生殖医療研究チームの研究員として、男性不妊に関する基礎・臨床研究に従事。
臨床精子学の第一人者としての専門性を活かし、男性不妊に特化したクリニック「黒田IMR(International Medical Reproduction)」を開院。
診察から精子検査・選別処理、技術提供に至るまで、すべてを一人の医師として担う体制を確立。専門性の高い診療を少数精鋭で提供しつつ、啓発・講演活動にも取り組んでいる。

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【不妊治療】治療の全工程を一人で行う理由_オーダーメイド治療
目次

約40年に及ぶ臨床精子学の「研究」と「臨床」から痛感させられたこと

ヒト精子の研究『臨床精子学』を専攻して約40年、黒田IMRの院長は、その成果を男性不妊の患者様のもとに橋渡して、多様な「精子の問題」に取り組んで参りました。その長年の経験を通して痛感させられたことがあります。

1.一つ目は「男女の多様な要因が複雑に関与した結果が不妊になる」ということ、つまり「不妊症は一括りにはできない」ということです

具体的に申し上げますと・・・
・不妊になる原因が男性側(夫)にあるのか、それとも女性側(妻)にあるのか、両方にあるのか?
・治療歴は長いのか? なぜ治療成果に繋がらないのか?
・これまでどのような治療を受けてきたのか?
・女性側(妻)の年齢は高いのか・・・等々


多種多様な夫婦が抱える問題が複雑に絡み合った結果として「不妊」になりますので、不妊症は一括りにはできません。つまり『不妊治療は、そもそも究極の個別医療』としての位置づけになりますので、不妊治療の「方法:治療法」も、治療に伴う「リスク」も、治療の「成果:妊娠率」も一律同じにはならないということです。その点を踏まえると、不妊治療の現場では一律同じ治療法が繰り返されていますが、一律に同じ治療をしても結果には繋がらない!ということです

解りやすく言えば「なぜ、不妊になっているのか?」という、不妊病態の解析のみならず、前述した夫婦の背景を把握することも含めて、その夫婦毎に最適な治療プランを作成することが不可欠であるということです。いかにご夫婦に合った個別化し得た不妊治療を技術提供できるのか!が成功への近道ということです。

2.二つ目は、治療現場における「精子側の知識と技術の遅れ」があり、そのことが「治療のリスク」を招く可能性があることです。

これは「どういうことか?」と言いますと・・・
生殖医療の治療現場では効率化を図るために、医師と胚培養士(主に精子・卵子・胚等の取り扱い、顕微授精を行う職種)の仕事の分業化が進みました。

しかし、臨床精子学の専門家が極めて少ないという背景もあり、結果として医師と胚培養士の双方で
(1)精子に関する知識と技術が出遅れていること
(2)この出遅れが顕微授精を普及させるに至ったこと
(3)さらには 顕微授精のリスクを招いている可能性がある
ということです。

顕微授精は、精子の質が悪い方にはリスクがある!

顕微授精_精子の質が悪い方はリスク

私は精子研究チーム(詳細は、黒田IMRホームページを参照ください)とともに、最終的には男性不妊の患者様のもとに橋渡しすることを見据えて開発してきた、たくさんの精子側の関連技術があります。

解りやすく具体的に言えば・・・
研究開発した精子関連技術を どのように組み合わせたらご夫婦に最適な個別化治療を行えるか、
また安全な生殖補助医療を実現できるのか・・・について回答を出すために研究を重ねて参りました。
その結論として、ビジョンの実現には「治療の全工程を私一人で行う必要性を強く感じました。

全工程を一人で行うことは診療効率の観点から極めて非効率です。しかし、全工程を一人で行うことにより、不妊病態の全体像の把握とともに基礎的知見と臨床経験を集積することが可能になります。
その結果、極めて重要な結論を得ました。

それは「顕微授精は、 精子の質的な異常(精子機能異常)がある方には不向きな治療である」という結論です。厳しい言い方をするのならば「顕微授精は、精子の質が悪い方には危険な治療である」ということです。なぜならば、顕微授精という技術は、精子の量的不足(精子数が少ない)をカバーすることはできますが、精子の質的低下(DNA損傷を含む精子機能の異常)を補償することはできないからです。

院長「自ら」が治療の全工程を「一人」で行うことの真価は?

院長自ら一人で不妊治療を行う真価

黒田IMRの不妊治療は、院長の初診カウンセリングから始まりますが、その後の精液から高品質精子の分離精製を行うこと、また精子の状態を分子生物学的に高精度解析して正確な精子妊孕性を見極めること、さらに妻の検査、排卵誘発、採卵、卵子と精子のハンドリング、受精から胚培養管理(胚評価)、胚移植、精子と胚の凍結、母胎管理に至るまでの全工程における技術の提供を主治医である「院長自らが一人」で行っております

全工程を一人で行うことは、診療効率の観点からみれば極めて非効率ですが、院長は約40年弱のヒト精子研究者としての経験と生殖医療専門の婦人科医師という経験という、両側面の視点を備えているからこそ全工程を一人で実施することを可能にしています。

その結果として、院長が不妊の全体像を把握し、基礎的知見と臨床データを集積し得た、その精子のタイプに最適かつ安全性の高い、究極の個別化治療プランを事前に設計した上で、開発技術を適材適所で導入することが可能になります。結果として、治療の適正化・効率化を図った真の個別化治療の実現が可能になります。結果として、治療の安全性と有用性の向上に繋がるという点に真価があります。

院長一貫体制と個別化治療に関するFAQ

多くの不妊治療クリニックでは医師と胚培養士が分業していますが、なぜ黒田IMRでは院長が一人で全工程を行うのですか?

現場の効率化を優先するためには「分業体制」は必要ですが、精子や卵子を扱う現場(培養室)と患者様を診察する現場(診察室)がそれぞれ別の業務になることにより、ご夫婦の「不妊の全体像」を正確に把握することが困難になります。
皆さん、気づかれていませんが、不妊はご夫婦毎の「複数」の原因が「複雑」に絡み合った結果として起きてきますので、不妊治療は「究極の個別医療」の位置づけになります。と言うことは、一律の治療をしていても成果に繋がるご夫婦は不妊の状態が軽症なご夫婦ということです。重症な不妊の場合は、そのご夫婦の病態に合った個別化治療をしなければ反復不成功の道を辿ることになります。
黒田IMRでは、約40年 精子研究に携わってきた院長自らが、初診カウンセリングから精子精密検査、高度精子選別、胚培養、胚移植に至るまでの全工程を一人で担います。分業化しないことは極めて非効率ですが、研究者と臨床医の両者の目線から全体像を統合的に見ることが可能になりますので、患者様に最適な技術を適材適所で導入でき、「真の個別化治療」の提供が可能になるという利点があります。

「顕微授精は精子の質が悪い方には危険(不向き)」というのは、どういうことですか?

顕微授精という技術は、精子の「数が少ない(量的不足)」ことを補うことはできても、精子の「DNA損傷などの機能異常(質的低下)」を補償・修復することはできないからです。 一般的には「精子が1匹いれば顕微授精で妊娠ができる」と説明され、男性不妊治療には顕微授精が一択ですが、質的(機能)異常精子を人工的に受精させた結果、妊娠、出産に至った際には、出生児へのリスクに繋がる可能性があります。ここに顕微授精の最も怖い点があり、「顕微授精は精子の質が悪い方には危険(不向き)である」という理由です。
黒田IMRでは精子研究者でもある院長自らが、分子生物学的な解析で精子の「質」を正確に見極め、事前に危険な異常精子を排除する技術努力をして、治療の安全性向上を徹底しています。

他院でマニュアル通りの一律な治療を繰り返してきましたが結果が出ません。「究極の個別治療」とは何が違うのでしょうか?

不妊の原因や背景(治療歴、妻の年齢、精子の状態など)は夫婦毎に異なります。ということは、一律の治療で妊娠できる可能性が高い「軽症な不妊なのか」、妊娠が困難な「重症なのか」を明確にすることが最も重要になるということです。
一方で治療現場では、受精しないといけないので「とりあえず顕微授精をする」という傾向が見られます。しかし前述しているように、顕微授精は精子異常(DNA損傷をはじめとする機能異常)を克服できる技術ではありませんので、そこに主因がある不妊ご夫婦は顕微授精を反復しても成果には繋がりません。とくに治療反復不成功のご夫婦は、なるべく早い時点で精子の「質=機能」を正確に調べることができる分子生物学的な手法による「高精度精子検査」を受けてください。一般精液検査で検知できない精子異常を把握できることにより、治療の「見通し・リスク」のみならず、「どのような治療法が最適で安全か」という個別化プランを設計することが可能になり、成果に繋がる確率が上がります。ここに個別化治療のメリットがあり、反復不成功の重症なケースこそ、生かされます。

Author information

黒田インターナショナル メディカル リプロダクション院長。不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる。

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