東大との共同研究の英語論文発表
当院院長の黒田優佳子が、東京大学定量生命科学研究所との共同研究の成果をまとめた英語論文が、国際学術誌「Biomolecules」(MDPI発行)に掲載されました。
■ 論文タイトル
Evaluation of Human Sperm Quality: In Vitro Purification of Motile Sperm and Subsequent Assessment of Potential Apoptotic Signs Beyond DNA Fragmentation
(ヒト精子の品質評価:精製運動精子に内包されるDNA断片化を始めとする隠れたアポトーシスサインの検出)
■ 著者
Satoru Kaneko、Yukako Kuroda、Yuki Okada
■ 掲載誌
Biomolecules 2026, 16, 928(MDPI)
■ 研究の概要
本研究では、DNA断片化のない運動精子と、DNA断片化を伴う非運動精子を高精度に分離する技術を用いて、精子の品質評価に関する包括的なレビューと検証を行いました。
顕微授精で用いるべき精子の安全性を見極めるため、これまでの高精度DNA断片化解析に加え、細胞膜や先体膜の正常性、ミトコンドリアにおける活性酸素(ROS)の発生状況、頭部内空胞の有無などを組み合わせた「マルチモーダル解析」の重要性について論じています。
主なポイントは以下のとおりです。
- OptiPrepおよびPercollの密度勾配遠心法を用いることで、DNA断片化陰性運動精子とDNA断片化陽性非運動精子を分離できることを示しました。
- 分離された運動精子の中にも、頭部の細胞膜が損傷しているなどの隠れた異常(アポトーシスの初期兆候)を持つものが含まれる可能性を指摘しています。
- 独自の色素排除試験(RR195/RB222染色等)や蛍光ラベル技術を活用し、精子の細胞膜、ミトコンドリアの形態や機能、頭部内空胞などを可視化できる評価法を報告しました。
- 顕微授精に最適で安全な「注入精子 Injectable sperm」を選別する基準を確立するためには、単一の検査ではなく、精子の形態や構造、さらには精子機能までを多角的に評価するアプローチが不可欠であることを提唱しています。
当院では、多項目にわたる精子精密検査を実施して精子の品質を多角的に正確に評価することで、患者様一人ひとりに最適で安全な治療をご提供できるよう研究を続けてまいります。
論文の全文は以下よりご覧いただけます。
biomolecules-16-00928
