当院院長の黒田優佳子が、東京大学定量生命科学研究所などとの共同研究の成果をまとめた英語論文が、国際学術誌「Scientific Reports」(Nature Portfolio発行)に掲載されました。
■論文タイトル
Protamine labeling with Reactive Black-5 and its molecularly designed derivatives visualize vacuoles in human sperm head
(Reactive Black-5およびその分子設計誘導体によるプロタミン標識を用いたヒト精子頭部空胞の可視化)
■ 著者
Satoru Kaneko、Yukako Kuroda、Ami N. Saito、Moriaki Sakihara、Kazuya Inagaki、Junichiro Yamaguchi、Yuki Okada
■ 掲載誌
Scientific Reports 2026, 16:15165(Nature Portfolio)
■ 研究の概要
ヒト精子において、空胞(vacuole)とDNA断片化の病因的関係はこれまで多数研究されており、一般的には微分干渉顕微鏡を用いて評価されてきました。
本研究グループは、空胞を可視化するための最適な色素を探索するため、市販の12種類の反応性色素を収集し、その染色性能を比較・検討しました。さらに、構造活性相関の解析に基づき、空胞観察に最適な分子構造を特定するために、30種類の分子設計されたRB5誘導体を新たに合成しました。
主なポイントは以下のとおりです。
・Reactive Black-5(RB5)という色素でプロタミンを標識することにより、精子の核が青みがかって染色され、空胞が染まらないスポットとして明確に可視化されました。 ・新たに合成した化合物(compound 2221)は、RB5と比較して非常に低い濃度でも同等の優れた染色性能を示しました。 ・これらの色素を用いることで、大きな空胞だけでなく、これまで観察が難しかった小さな散発的な空胞も可視化することが可能となりました。 ・RB5染色によって核と空胞の間に十分なコントラストが得られたことで、デジタル画像処理を通じた定量的な形態計測解析(Morphometric analysis)が可能になりました。
当院では、精子の品質を多角的に評価するための検査体制を整え、患者様一人ひとりに最適な治療をご提供できるよう研究を続けてまいります。
論文の全文は以下よりご覧いただけます。
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