黒田IMR 院長紹介

なぜ、女性婦人科医師が『精子』を
専攻したのか?
極めて少ない『臨床精子学の専門家』としての
使命

院長 医学博士 黒田 優佳子 院長 医学博士 黒田 優佳子
私は産婦人科医師になり、30年以上経ちます。出身校(慶應医学部)では、昭和20年代から不妊治療、とくに人工授精に取り組んできました。私が医学部を卒業する昭和62年頃、体外受精・胚移植が日本に導入され、不妊治療という領域から生殖医学、さらには生殖補助医療(Assisted Reproductive Technology:以下ART)という概念が確立し、不妊治療に新しい時代が来ました。
当時から、産婦人科における生殖の研究は、当然のことですが卵子にばかりに目が向けられており、精子には全くといってもいいほど関心が持たれていませんでした。一方、泌尿器科領域においても、男性不妊に関わる基礎疾患(精索静脈瘤など)の研究が精力的に行われ、精子は着目されていませんでした。
そのような背景の中で、私は不妊治療に携わる産婦人科医師として研究が出遅れている精子に着目し、研究成果を男性不妊で悩む患者さんのもとに臨床応用できることを見据えてあえてヒト精子を対象とする『臨床精子学』の研究を志し、一貫して慶應医学部卒業後の大学院生活4年間も「精子」を専攻し、博士号を取得した後の東京大学医科学研究所(国内留学)での研究生活2年間もやはり「精子」を研究しました。それから30年以上経った今でも臨床精子学を専攻している産婦人科ならびに泌尿器科の医師は極めて少ないのが実情です。

『臨床精子学』の視点から
つまり、研究者である基礎的知見と
医師である臨床経験の両者の視点から
現状の不妊治療を見直す

私は、「臨床精子学」が世の中に知られていない時代から専攻して研究を重ねて参りました。長年、基礎研究の知見を備えた医師として臨床の現場に立ち、痛感したことがあります。それは「ヒト精子に関する正確な知識と技術レベルが大変出遅れた」ことが「運動精子の数が少ないから、精子の状態が悪いから、顕微授精しましょう」という説明になり、「安易に顕微授精を普及させた」ことに繋がったということです。その結果、現状の不妊治療の問題が深刻化したのです。
20代の私を知ってくださっている長年の研究仲間達から「黒田先生は臨床精子学の第一人者なのですから、悩んでおられる不妊男性の為にもヒト精子の研究を続け、現状の誤解によるリスクを伴うARTの改善に邁進してください」と熱いお言葉をいただけることが、私の日々の原動力に繋がっております。

経歴

1981年
慶應義塾大学 医学部 入学
1987年
慶應義塾大学 医学部 卒業
卒業後4年間は産婦人科医師として臨床経験を積む
1991年
同産婦人科学教室 大学院 入学
1995年
同産婦人科学教室 大学院 卒業
大学院4年間において研究に従事
「ヒト先体反応精子の精製法および定量的評価法」を確立
博士号(医学)取得
1995年
東京大学医科学研究所 研究員
国内留学2年間においても
「ヒト精子の受精における細胞内情報伝達機構の解析」
「ヒト精子の品質および機能解析」の研究に従事
1997年
慶應義塾大学 医学部 産婦人科学教室 初の女性医長に就任
不妊治療を中心とした診療・教育・研究に携わる
2000年
自身の基礎研究に基づいた最先端の知識と技術を駆使した不妊治療を実現する為に 黒田クリニック・リプロダクション リサーチセンターを設立、独立開業
2003年
精子研究所を設立、規模拡大と共にクリニック移転
黒田IMR(黒田インターナショナルメディカルリプロダクション)と改称
2024年
福島県立医科大学ふくしま子ども・女性医療支援センター特任教授   (産婦人科・非常勤) 就任
現在
不妊治療で生まれてくる子ども達の健常性向上を目指して「高品質な精子の精製法および精製精子の機能評価法の標準化」と共に「次世代の不妊治療法」を提唱し、日々の診療と講演活動に力を注いでいる

所属学会

講義 / 講演

監修コラム

主な書籍

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